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2024年4月施行!障害者総合支援法 改正のポイント

障害者総合支援法は2005年(平成27年)の成立以来、利用者ニーズや社会状況をふまえ、おおむね3年ごとに改正を重ねています。
直近の改正は2022年(令和4年)12月16日に行われ、一部を除いて来年2024年(令和6年)4月1日から施行されます。
今回の改正のねらいは、「一人一人の障害者が希望する生活を実現できるようにすること」です。そのために地域生活と就労に対する支援が強化されました。
具体的にどのような点が改正されたのかについて、5つのポイントに分けてご紹介します。

 

1.地域生活の支援体制の充実

 

① 一人暮らし希望者などに対するグループホームの相談支援機能を強化

これまでは、共同生活援助(グループホーム)から一人暮らしに移行したい人に対する支援の仕組みが不十分でした。
今回の改正では、グループホームが一人暮らし希望者に対して、家事支援や買い物同行、金銭や服薬の管理支援を実施することが明確化されました。
また、退居後も一定期間、グループホームが相談などを行ってバックアップする機能も加わりました。

②「基幹相談支援センター」「地域生活支援拠点」の整備

障害者が安心して地域生活を送れるよう、地域の相談支援の中核的役割を担う「基幹相談支援センター」および緊急時の対応や施設等からの地域移行の推進を担う「地域生活支援拠点」などの整備が市町村の努力義務とされました。
「基幹相談支援センター」は、どこに相談したらよいかわからないような場合、「とりあえずここに聞けば大丈夫」という場になっています。

③ 精神保健に関する相談支援の対象者を拡大

都道府県や市町村が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者だけでなく、「精神保健に課題を抱える人」も対象になりました。また、対象者の心身の状態に応じて保健、医療、福祉、住まい、就労その他の適切な支援を包括的に確保することが重視されています。

 

2.多様な就労ニーズへの対応策の強化、雇用の質向上の推進

 

① 新たな障害福祉サービス「就労選択支援」の創設 ※2025年(令和7年)までに施行

就労アセスメント()の手法を活用した新たな障害福祉サービスとして、「就労選択支援」が創設されました。これは、就労先や働き方についてより良い選択ができるように設けられたものです。
また、ハローワークはこの支援を受けた人に対して、アセスメント結果を参考に職業指導を実施することになりました。

就労アセスメント・・・就労系サービスの利用意向がある障害者との協同による、就労ニーズの把握や能力・適性の評価および就労開始後の配慮事項等の整理

② 「特定短時間労働者」の雇用率算定基準の改定

改正前の障害者雇用率制度では、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の短時間労働者については、雇用率算定の対象外でした。
改正後は、重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者に限り、1人雇用するごとに0.5人とカウントされるようになります。これにより就労機会の拡大が期待できます。

③ 障害者雇用調整金・報奨金の支給方法の見直し

事業主が一定数を超えて障害者を雇用する場合、超過人数分について支給額の調整が行われるようになります。

④助成金の新設・拡充

障害者の雇入れ・雇用継続についての相談支援等に対応するため、新たな助成措置が設けられます。また、既存の助成金(障害者介助等助成金、職場適応援助者助成金等)も拡充されます。

 

3.精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備

 

① 医療保護入院における「市町村長の同意」の要件緩和

これまで医療保護入院は、精神障害者に家族がないか、家族全員が意思表示できない場合に限り、市町村長の同意により行うことが可能でした。改正後は、適切な医療を提供するために必要であれば、家族などが同意・不同意の意思表示を行わない場合にも市町村長の同意による医療保護入院が可能となります。

② 医療保護入院者の権利擁護が強化される ※一部は2023年(令和5年)4月1日施行

医療保護入院を行ったときは、入院期間を定めて一定期間ごとに入院の要件(病状や同意能力など)の確認を行うこととなります。また、医療保護入院者等への告知の内容に、「入院措置を採る理由」が追加されます。

③「入院者訪問支援事業」の創設

医療保護入院者からの希望を受けて、訪問支援員が入院者の体験や気持ちを丁寧に聴き、必要な情報提供を行う「入院者訪問支援事業」が創設されます。対象は市町村長の同意による医療保護入院者が中心となります。

④ 精神病院における虐待防止対策の強化

精神病院における虐待防止の取り組みを推進するため、管理者のリーダーシップのもとで次の義務が課されることとなりました。

  • 職員研修、普及啓発等の実施
  • 虐待を発見した時の都道府県への通報

 

4.難病患者等に対する適切な医療の充実・療養生活支援の強化

 

① 医療費助成期間の前倒し ※2023年(令和5年)10月1日施行

難病患者・小児慢性特定疾病児童に対する医療費助成の開始時期が、「申請日」から「重症化したと診断された日」に前倒しされます。

② 療養生活、福祉・就労に関する支援の強化 ※一部は2023年(令和5年)10月1日施行

療養生活における支援の円滑な利用とデータ登録の促進を図るため、「登録者証」の発行が行われます。
また、難病相談支援センターと福祉・就労に関する支援者の連携を推進するなど、難病患者の療養生活支援や小児慢性特定疾病児童(小慢)の自立支援事業が強化されます。

 

5.データベースの第三者提供に関する規定の整備
※一部は2023年(令和5年)4月1日施行済み、そのほかは2025年(令和7年)までに施行

障害福祉サービスや難病患者等の療養生活の質を向上させるため、障害・難病・小慢の各データベースの第三者提供に関する仕組みが整備されます。

 

いかがでしたでしょうか?
障害者総合支援法が目指しているのは、「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重して安心して暮らすことのできる地域社会の実現」です(第1条より)。今回の改正によって私たちを取り巻く環境がどのように変わるのか、興味をもって注視していきたいと思います。

※今回ご紹介した内容には、障害者総合支援法とともに改正された精神保健福祉法、障害者雇用促進法、児童福祉法、難病法の改正点も含まれています。

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