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遺言書を書く時に感じる「3つの抵抗感」

私が遺言書を作成したのは57歳の時です。

行政書士として独立するにあたり、覚悟を決めたいというのが動機でした。

今でこそ、遺言書を作成してよかった!と思っていますが、実は着手するまでに結構な時間がかかりました。自分で書くと決めたのに、なぜか目をそらしてしまうのです。今になって振り返ると、私の中に「漠然とした抵抗感」があったのだと思います。

それがどのようなものだったか、具体的にお話しします。

1.死ぬことを考えたくない

自分の将来は不確かですが、唯一「いつかは死ぬ」ということだけは確実です。必ず起きる以上、その準備をするのは決して特殊なことではないはず・・・ですが、私は日ごろから死について考えないようにしていました。もっとはっきり言えば、縁起でもないという気がしていました。

「今は元気だけれど、遺言を書いてしまったがために不慮の事故に遭ったりして寿命が縮まったらどうしよう・・・」などと根拠のない不安も湧いてきました。

自分の人生の終わりについては見ないでおきたい、このまま人生が永遠に続くと錯覚していたい、そんな心境だったように思います。

2.めんどくさそう

遺言書を作成するには、自分の財産をすべて洗い出し、目録にする必要があります。私の場合、財産が少ないうえに不動産なども持っていないのでシンプルでしたが、それでもなかなか着手できませんでした。だいぶ前に開設して使わなくなった銀行口座の記憶などがあいまいで、いちいち明らかにするのがめんどくさそうだと思ったりしました。

また、法定相続人を特定するためには生まれてから現在までの戸籍をすべて取り寄せる必要があるのですが、これについても、「何度か本籍地が変わっているので手間がかかりそう・・・」と二の足を踏んでしまいました。

3.自分へのメリットがわからない

遺言書を作成する理由として代表的なものは、「家族や大切な人が相続手続きで苦労しないようにしたい」「遺産分割をめぐる争いを防ぎたい」「自分の財産の行き先は自分で決めたい」などだと思います。

私のように配偶者や子どもがいないおひとりさまであっても同様で、遺言書を作成しておけば相続人(親やきょうだいなど)が遺産分割協議をする必要がないので負担が大きく軽減されます。

そうとわかっていてもすぐに動けなかったのは、「急いで作らなくても、今、生きている自分は困らない」という思いがあったからだです。言い換えれば、「(相続人にとってのメリットはわかるけれど)自分へのメリットがわからない」ということです。

この点については、遺言書を作成してみて答えが出ました。遺言書は残された人のためのものであると同時に、いやそれ以上に、今、生きている自分のために書く価値があるものだと思います。それについては、改めてブログに書く予定です。

 

ここまで私自身の体験をお話してきましたが、同じような抵抗感をもつ人は少なくないと感じています。

遺言書を作りたいと思うのは、人生の中で何かしらの「大きなきっかけ」があった時だと思います。ご自身の人生をより良いものにするためにも、ぜひ、その思いを形にしてみてはいかがでしょうか。

当事務所では、遺言書作成のサポートを行っています。

ご興味がある方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

 

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